これも修行!と月2-3本は英語雑誌の査読をしているのですが、ちょっと馴染みのない研究をみることになり。観察研究のメタアナリシス(MA)をして基準値を求めるというテーマ。どうせ材料となる論文の対象集団に代表性がないだろうから、基準値なんて出せねーよ!と厳しく査読するつもりだったのですが、研究同志の先生から「昔Lancetに似たようなフレームの研究ありましたよ」と。マジか…ちょっと勉強してみよう、ということで2011のLancet様の「小児の心拍数(HR)と呼吸数(RR)の基準値を求める観察研究のMA」を読んでみます。Oxfordのプライマリケアチームから。興味深々!

Normal ranges of heart rate and respiratory rate in children from birth to 18 years of age: a systematic review of observational studies

研究疑問 :健康な18歳までのHRとRRの基準値は?
研究デザイン :Systematic Review&MA
セッティング :全世界

P 健康な~18歳
O HR、RR

HRとRRは小児の状態を把握するのに重要だが、実は基準値について明確な出どころはない、のでMAしてみました!という研究。

【方法】
・使用レジストリはMedline、Embase、CINAHLで2009.4月まで
・包含基準は以下
 - 横断研究、ケースコントロール、コホート
 - N ≥ 20、≤ 18歳
 - HRかRRを測定し、各年齢層でのdataがある
・除外基準は以下
 - 早産、心肺疾患、鎮静中
 - 運動介入前のdataがない、海抜1000m以上
 - 大人を含み、各年齢層のdataがない
 - 層化されてないか、されていても10歳以上の幅
・抽出したdataは以下
 - 年齢層、人数、測定理由、セッティング、起きていたか
 - 各年齢層では人数と最小ー最大年齢、各要約統計量
 - 男女や民族でわけている場合は、同一年齢でも別グループに
・ほかルール
 - 同一年齢で複数の測定方法がある場合、もっともストレスが少ないもの
 - 年齢群の組み合わせデータは分解して別グループ
 - 覚醒と睡眠の両方がある場合、覚醒時
 - 複数の睡眠時がある場合平均
・解析方法
 - 中央値と代表的な100分位を算出
 - 要約統計量がない場合は平均と標準偏差から推定
 - 歪度は…このあたりからちょっと理解できず
 - 結果はカーネル回帰を用いた分位チャートで図示

【結果と結論】 
・69研究を包含し、HR14万人(59研究)、RR3881人(20研究)のdataを利用した。
・呼吸数が経年的に低下
 - とくに出生時44回→2歳で26回
・心拍数は生後1ヶ月がピーク
 - 出生時127回→1ヶ月145回→2歳113回
・本研究の分位チャートと公表基準値には一部不一致あり
 
などの知見が得られ、今後の解釈の役に立ちそうです。

<向学のためにlimitationのまとめ>
・古い研究は抜けていたり、一部原本が取り寄せれなかった
 - 古いので著者に連絡もとっていない
・測定環境、覚醒状況や測定方法で数値が大分かわる
 - そして細かな状況が報告されていない報告が多かった
 - 逆に幅広い状況に代表性があるかも
・カットオフ値を決める場合は注意
 - 健康児、様々な疾患をもつ児でわける必要がある

【コメント】
基準値求めるには、代表性がある集団からランダムサンプリングするしかない!と思っていたのですが、観察研究のMAで事足りるんですね…。細かな解析は勉強してみないとわからないのですが、Lancetに載っているので正しいのでしょう(すいません)。包含した研究の評価がみあたらなかったけど、比較結果を統合するわけじゃないので不要なのか!?たいへん勉強になりました。