おかげさまでちょっとずつ見てくださる方も増えてきましたので、気合を入れなおして論文checkしていこうと思います!とりあえずやっぱりEvidence Alertsから星4つの研究。脊椎とは直接関係ないんですけど、最近VDがどうやら活況ですので。

The effect of supplementation of vitamin D in neurocritical care patients: RandomizEd Clinical TrIal oF hYpovitaminosis D (RECTIFY).

研究疑問  :VD補充は神経系救急疾患の予後を改善するか?
研究デザイン:RCT
セッティング:米国ユタ州の1病院

P 神経外科/内科に救急搬送されICUに入室したVD欠乏患者(<20 ng/ml)274人
I  VD3単回投与(コレカルシフェロール54万単位)
C プラセボ
O 主要:入院期間(LOS)
    副次:ICU-LOS、血中VD濃度、有害事象など
*18歳以上、同意がとれ、2日以上の入院見込み
*すでにVD服用中、高Ca血症、腎結石などを除外
*先行研究をもとに差2日/脱落10%で計算したサンプルサイズは合計436人
*対象疾患は脳梗塞、脳挫傷、てんかん重積、脳内出血など全39疾患

VD欠乏は非常に多い(アメリカで30‐50%)。実はVDは骨格以外の様々な臓器で重要な役割を担っており、その欠乏はくも膜下出血、脊椎疾患、脳梗塞や心肺疾患の予後と関連することが言われ、VDの補給が予後を改善する可能性が示唆されている。ただこれまでの研究は対象や投与法が多様すぎたので、今回重篤な神経疾患に的を絞って調べてみました!という研究。

結果は何と中間解析の時点でこのまま続けても無駄、と試験中止に。ITT解析でVD群でLOS 10.9 [15.6]に対しプラセボ群でLOS 9.1 [7.9]と、有意ではないものの逆にプラセボ群の方がLOSが短いという結果。そして本研究ではVDの有効性について何の知見も得られなかったとの結論。

【批判的吟味】★★★
読んでいて結構しっかりしたRCTなのにEA星4つはなぜだろう?と思っていたら、negative study!しかも中間解析の時点で中止になっていたからなんですね。RoB2

1.割付けの隠蔽化 Low risk
2.割付けの盲検化 Low risk
3.アウトカムの追跡 Low risk
4.評価者の盲検化 Low risk
5.選択的な報告 Low risk

と、RCTとしての質は高いと思います。キツイ疾患を対象にしているわけで、神経予後、生死、ADLやQOLなどもっと重要なアウトカムがある。なのでLOSが主要アウトカムなのはピンときません。あと先行研究が的を絞れていない!ことが研究動機なのに、対象疾患が39もあるのも微妙。このあたりがBMJじゃなくJNSである理由なんでしょうか?ただ研究としてはしっかりしていますし(質を高めやすい臨床疑問を扱っている点も含めて)、エビデンス総体に貢献する良い研究だと思います。

【コメント】
ちゃんとやればnegative studyでもちゃんといい雑誌に載るんですね。逆にいうと、ちゃんとやらないといい雑誌に載せるのは難しいのもわかってきました。臨床も研究も多分近道はないです。臨床1本のときは「研究はひらめきさえあれば1発当てれる」くらいに思ってたけど、そんな甘い世界じゃないです...