Spine6月号から、逆風吹き荒れる椎体形成術(椎体形成術はもう死んでいる)をテーマにした中国からの論文です。Spineは椎体形成術関連載せてくれるんだ。読み始めると、RCTなのに「Retrospective comparative study」大丈夫でしょうか…

Mineralized Collagen Modified Polymethyl Methacrylate Bone Cement for Osteoporotic Compression Vertebral Fracture at 1-Year Follow-up

研究疑問  :ミネラル化コラーゲン(MC)含有骨セメントは効果的か
研究デザイン:RCT
セッティング:中国の大学1病院脊椎外科?

P 椎体形成術(T11-L4の骨粗鬆性椎体骨折:計105人)
I PMMA+MC
C PMMA
O ODI、VAS(術前、術後3日、3・6・12ヶ月)
   画像パラメータ(椎体高など:術前、術後3日、12ヶ月)
 
椎体形成術の予後を改善するために、PMMAに「ミネラル化コラーゲン」を足して、もうちょっと柔らかくして、骨親和性をもたせてみたよという論文。1年後のODIも、VASも、椎体高もMC付加群が優れていて、再骨折やセメント漏れは少なかったという結果で、PMMAにMCを付加した方がいいという結論。

【批判的吟味】
といいますか、研究が粗すぎてコメントが難しい。手術適応は?罹患期間は?なぜT11-L4?主要アウトカムはどれ?主要エンドポイントは?サンプルサイズの出どころは?プロトコル登録もしていないし(トップジャーナルならそれだけでキックです)。要するに、必要な情報が乏しすぎて研究結果を解釈することができません。だからRCTから過去起点研究に格下げになったのでしょうか?でも前向きだよな…謎が多いです。

すでにRCTとしてのバイアス評価をする次元じゃないんですけど、一応RoB 2に照らしてみますと、

1.割付けの隠蔽化 Some concerns 
2.割付けの盲検化  Low risk
3.アウトカムの追跡 High risk
4.評価者の盲検化  High risk
5.選択的な報告  Some concerns

と、RCTとしての質もきわめて低いです。割付結果がわかってもクロスオーバー(I⇄C)はできないし、2.割付けの盲検化だけはlowにしましたが、あとは厳しい。質が低いRCTは誤解を招き、むしろ悪ですらあり得ます。

【コメント】
ネタとしては面白いけど、格をさげないために怪しい論文は載せないで欲しい…Spine、がっかりさせないで...