第31会日本脊髄外科学会に参加しています。ランチョンセミナーで会津医療センターの白土教授のご講演を拝聴しています。

現在腰痛診療のガイドライン改訂の作業をされており、紹介されています。先駆けてガイドラインの作り方について。

ガイドラインは
1 クリニカルクエスチョンの作定(評議員中心に)
2 クエスチョンに関わる文献の網羅的検索(邦文1000編、洋文3500編)
3 質が高い論文の抽出(最終的に約200編)

という膨大な作業を経てできます。今回の改訂の骨子はRCTに偏らず、数が多く期間が長い観察研究を大切にしようとの事でした。

RCT:ランダム化比較試験はエビデンスレベル最高の、純度の高い試験です。

臨床研究を端的に表現すると、対象群と比較群で暴露に差があるかどうかを比較することです。研究の質には、'シグニフィカントーシス'の項で先述しましたが、精度と妥当性がどれだけ高いかによります。その妥当性を落とす最大の要因は交絡因子です。

RCTがなぜ最高かというと、ランダムに対象群と比較群を振り分けますので、交絡因子を正確に抽出しなくても勝手に均等に振り分けられるため、交絡因子を考慮する必要がないからです。

ただ腰痛は万人に共通に起こるわけではなく、生活環境や仕事、ストレスなど多くの影響因子があります。ランダムに振り分ければ何でもいいという訳ではありません。'腰痛で困りやすい集団`を対象にした方がより実臨床に近く、エビデンスレベルだけに執着せず観察研究を見直そうとの事でした。

臨床研究は奥が深いです。隣山の出来事ではなく、我々末端の臨床家も知識を身に付け、医療の発展に寄与しないといけませんね。

ガイドラインが出来上がったら、そういう目線で読んでみたいと思います。