現在教室内の関係者回覧で、菊池臣一先生の「学長からの手紙」を拝読しています。非売品のようで、非常にラッキーでした。菊池先生といえば私のような民間病院の一勤務医(しかも脳外科)でも存じているレジェンドで、数年前の脊髄病学会でのご講演で胸が熱くなったのが思い出されます。

「学長からの手紙」は、菊池先生が1990年に福島県立医大の教授に就任されてから不定期に医局員宛に綴られた手紙が書籍化されたもので、上・下巻で本編225と式辞など番外編25で構成され、本年1月に発刊されています。読んでみて、「これは手元に欲しい!」と思い探したのですが、先述のとおり非売品のようで購入できそうにはありません。ではなぜ読めないものを紹介するかというと、菊池臣一 コラムとして大部分が福島県立医大ホームページで公開されているからです。

内容は非常に示唆に富んでおり、カナダのMacnab教授の元への留学時代、地方の赤字病院長時代や自治会から除名されてから教授に就任するまでのエピソードなどを背景に、人として、医師としての心構えが記されています。私のように文才がない者が云々述べるより、是非上記コラムをご覧ください。1つ紹介しろ、と言われればNo.123でしょうか。誤解をおそれずに述べますと、私が京都に来た理由を代弁していただいたように感じます。この内容に共感する人が増えれば、日本の臨床研究は益々発展するはず。

以前末席でご一緒させていただく機会があり、その際私に「脳外科だからと気にする必要はない、脊椎外科の仲間だ」とお声がけいただき、慰労のメールまで頂戴しました。なぜここまで心配りをされるのだろう?と感動しつつ驚いたのですが、「学長からの手紙」を読んでその理由がわかり、改めて畏敬の念を禁じ得ません。

現在も途中ですが、ぱっと思いつくだけで

「与えられた仕事は復名(経過報告、完了報告)」
「患者に今まで以上に丁寧に接しよう」
「白衣を着ている間は立ち居振る舞いに注意」
「外来でのシャツやネクタイはたまに変えよう」
「言い訳は極力しない」
「修羅場があっても逃げない」
「MRと対等に付き合おう」
「尊厳が傷つけられない限り、喧嘩は避けよう」

など、さっそく自身の心構え・行動がかわりました。全うすることは自分の精神力不足によりで難しそうですが、医師としての道標になりました。さ、研究しよう!
学長からの手紙