次はSpineに載ったRCTの検証。頚椎固定の際、安全にできるなら椎弓根スクリュー(CPS)使いたいところですが、センスない外科医にとっては敷居が高く。ロボットに手伝ってもらったら精確に打てる?RCTだけどEAの評価は低めの星4つ。

Improved Accuracy of Cervical Spinal Surgery With Robot-Assisted Screw Insertion: A Prospective, Randomized, Controlled Study.

研究疑問  :ロボット支援は頚椎スクリューの精度を向上する?
研究デザイン:RCT
セッティング:中国単施設(2015~2018年)

P スクリュー固定が必要な頚椎疾患 127人
I  ロボット支援設置 61人
C 透視下設置 66人
O 主要 :計画した位置からの逸脱
副次 :手術時間、出血、入院期間、合併症(4Mまで)

【方法】
・除外基準は重度の骨粗鬆症や並存症など+不適格と判断した例
・1:1の単純ランダム割付
・逸脱は術前計画CTと術後CTを重ねて評価
 - Gertzbeinの尺度(GradeA~E;2mm間隔)
・サンプルサイズは事前調査での差約0.8mmを検出する設計
・解析は検定のみ、対象はPer-Protcol集団

【結果と結論】
・適格者は198人でランダム割付135 人(68%)
 - ロボット群6人、X線群2人は術前に脱落
・使用したスクリューは
   ロボット群 LMS 26% 歯突起 9% Marerl 19% PS 46%
   X線群 LMS 34% 歯突起 10% Marerl 12% PS 44% 
・逸脱はロボット群 0.8 (0.4, 1.3)mm vs X線群 1.8 (1.4, 2.5)mm
 - GertzbeinのGradeは
   ロボット群 A 88% B 11% C 1%
      X線群 A 61% B 30% C 7% D 2%
・その他アウトカムでロボット群 vsX線
 - 手術時間 220 (150, 300)分 vs 210 (150, 255) 分
   出血 200 (50, 375) ml vs 350 (100, 500) ml 

というわけでロボット支援だとより精確にスクリューうてますよとの結論。

【批判的吟味】★★★
全体的にはバイアスが入りにくい研究疑問/デザインの、いい研究だと思います。ただ気になる点は結構たくさんあって、
 ・中国産(しかも単施設)
 ・スクリュー固定が必要な頚椎疾患って何??
 ・単純ランダム割付なのにキッチリ1:1に分かれすぎ
 ・検出したい「0.8mm」は臨床的に重要か?
 ・三次元のCTでどう逸脱を定量化したか不詳
 ・難易度が全然ちがう挿入法を丸めて対象にしている
 ・解析が単純な検定だけ
などでしょうか。ぶっちゃけCPS以外でロボット使う意味あまりないし、対象はCPSに限定すべきだったと思います。早く数集めて発信したかったんでしょうけど。RoB2

1. 割付けの隠蔽化 Low risk
2. 割付けの盲検化 Low risk 
3. アウトカムの追跡 Low risk
4. 評価者の盲検化 Low risk
5. 選択的な報告 Some concerns

RCTの質としては高そうです。プロトコルにアクセスできない点以外はバイアスリスクは低いかと。

【コメント】
中国の怪しい論文や査読たくさんみてきたので、やっぱり色眼鏡でみてしまいます。ズルしてるんじゃないか?と…日本も一緒か。バイアスリスク低いRCTなのにJBJSに載らないってことは、やっぱりそうなんだろうなぁ。EAも評価高くないし。