よくメンター先生方から「これって関係みれてないでしょ?関連でしょ?」といった旨ご指摘を受け、関係と関連の違いそんなに大事?とチンプンカンプンだったことがありました。実はその研究の根幹に関わる重要な違い…と思うようになったのはつい最近。あくまで現時点での私的な認識ですが、整理しておきます。

【関係と関連のちがい】

 「関係」とは「因果関係」Causal relationship
 「関連」とはAssociation、何なら「相関」Correlation

を指します。「因果関係」とは、AによってBが生じる、すなわちAが原因でBが結果であることを指します。一方、「関連」はAとBには関連があるけれども、Aが原因でBが結果なのか、それともBが原因でAが結果なのかわかりません。言い方をかえると、AとB因果関係があるためには関連は必要(関連は因果関係の必要条件)ですが、関連があるからといって因果関係があるかはわかりません(関連は因果関係の十分条件ではない)。

【因果関係を示すには】
因果関係を示すのは非常に難しく、

 1.AとBに関連がある
 2.Aが先でBが後(時間的順序がある)
 3.交絡因子の影響がすべて除外できる

ことが必要です。とくに臨床研究で3.を証明するのはほぼ不可能。よくデザインされたRCTであれば、同じようなRCTをひたすら繰り返した平均としては理論上3.が言えますが、それ以外では不可能です。そのため、因果推論 causal inferenceという学問があって、偉い先生方ができるだけ因果関係に迫るために日々頭を悩ませていると。私のような駆け出しの疫学者もどきには遠い世界…(避けることはできませんが)

【関連性を示すには】
ちなみに関連性を検証するのもそう簡単ではなく、交絡因子の影響を考慮することが必須です。さもなくば、AとBに関連がありそうにみえても、AもBも実は結果で、共通の原因Cによって見せかけの関連が示されているだけの可能性があります。何でもかんでも変数をモデルに入れて、強い因子を選抜する探索的研究では関連性について強いことは言えません。

【まとめ】
関係>>関連であり、臨床研究(とくに観察研究)で「AとBの関係が示された」とか「AによってBが生じることがわかった」と結論するのは避けた方が無難です。また、探索的な研究(とくに交絡を全く考慮しない単変量解析)で「AとBに関連がある」と断定するのも✕。せいぜい「…かもしれない」とお茶を濁すのが妥当でしょう。勉強するほどつらい現実に直面する、ドMな世界…