論文を仕上げたのはいいけど、共著者に誰を入れるか?で頭を悩ませることが多いと思います。なぜなら、実質ほぼ一人で行った研究にも、同僚や上司の名前を入れるいわゆるギフトオーサーシップが蔓延しているからです。実績(h-indexも著者順は関係なくカウント)、資格取得や維持が関係する非常にデリケートな問題で、載せないと恨まれたり、自分の立場が悪くなるんじゃないかという恐怖がある本当に面倒くさい問題。しかも、近年のちゃんとしましょう!という流れを受けてか著者数に制限を設ける雑誌が多く、かえってややこしい(例えばJBJSは原則6人、BJJは8人)。

最近お問合せをいただいたので、ちょっと整理しておきます。以前著者の役割という記事を書きましたが、どの程度の役割を果たせば共著者になるんでしょうか。実はちゃんと決まりを作って無駄なところにエネルギー使うのやめましょう!と1997年にCommittee on Publication Ethics: COPE という団体が英国で発足しています(とSPHの授業で習いました)。このサイトを進んでいくと、共著者を決めるガイドラインがfreeでダウンロードできます(2003年度版とちょっと旧いですが)。ざーっとまとめます。

<著者の資格>
・ 研究立案とデザイン、データ取得 acquisition、データ分析と解釈のいずれかに実質的貢献がある
・原稿作成や内容の大幅改定を行う
・最終稿の出版に同意する
・これら満たす者が著者
・ファンド獲得、データ収集 collection、研究グループの統括は著者資格とは別

<著者問題で頭を悩ませないために>
・研究開始から議題にあげ、記録する
・原稿を完成するまでに、誰がいつ何をするかの情報を共有記録する
 - 筋違いの期待やコミュニケーション不足から問題が生じるので

<揉めたらどうするか>
・「実質的な貢献」の判断は難しく揉めやすい
 - 上司に著者の出し入れを指示されたら、エビデンスを示して自分の考えを通す
 - それでも指示されたら、もっと上に泣きつく
 - でもほんとにそうする前に忠告する
・倫理的不正を持ちかけられた際には究極の決断
 - 黙って従う?キャリアを犠牲にして正義を通す?
 - どっちもきついので、別の方法をとりましょう
 - 雑誌に不正として指摘される可能性を伝える
 - そうなったらacceptされないけどいいんですか?

【コメント】
臨床研究を学び始めてから、日本語1編、レター1編、英語3編書きましたが書くことに必死で著者問題は棚上げしてました。メンター先生方とボス(ちゃんと研究立案段階からみていただいている)が入るのは暗黙の了解で決まっていて、あとは原稿完成してから貢献が高い方に共著に入っていただくことを改めてお願いして、原稿の改訂に加わっていただくと。基準は満たしていますので、このやり方で問題はないようです。でも揉めないためには研究立案段階からある程度決めて記録しておくべきでしょうか。てか更に上に泣きつくとか、過激すぎて日本ではちょっと無理でしょ…訳あってんのかな…