脊椎領域には怪しいシステマティックレビュー(SR)が多い(すぎる)ので気が進まないのですが、EA通知でJBJSのSRがきたので読んでみます。ネタは非常に興味深い純粋な頚神経根症の手術に関するSR。オランダの研究チームから。

Surgical Interventions for Cervical Radiculopathy without Myelopathy: A Systematic Review and Meta-Analysis

臨床疑問  :頚神経根症に最善の術式は?
研究デザイン:Systematic Review
セッティング:全世界

P 脊髄症を伴わない頚神経根症
I 各術式
C 他の術式 
O 主要:成功率
副次:復職、再手術、合併症、機能、疼痛
 
外側ヘルニアによる、頚髄症を伴わない神経根症の手術には前方手術(固定or非固定)と後方除圧があり、どの術式がよいかはわかっていない。いくつかレビューはあるものの、頚髄症を伴う例の扱いが曖昧で対象集団が不明瞭であった。そこで神経根症に焦点をあてたSRを行いました!という研究。

【方法】
・包含基準は
 1) 純粋な単椎間の頚神経根症を対象
 2) 前方法か後方法をあつかう(比較対照あり)
 3) 成功率、機能か痛みを測定
 4) RCT
・対象は英もしくは蘭の文献に限定
・プロトコルはPROSPEROに登録
・データベース毎の検索タームは付録に添付
・成功率はOdom criteria
 - 機能はNDI、疼痛はNRS(上肢・頚部)
 - 無症候性でも隣接障害は合併症に分類
・RoBツールで包含研究の質を評価
・発生数0は+1してメタアナリシスに使用

【結果】
・21RCTを包含
・登場した治療法はは多岐にわたる
 - 前方は自家骨固定(ABG)、ABG+プレート(ABGP)、
   除圧のみ(ACD)、椎間孔除圧(ACF)、
   除圧固定(ACDF)、ACDF+プレート(ACDFP)、
   スペーサーのかわりにPMMA、人工関節置換(CDR)、
 - 後方は椎間孔除圧(PCF)、ほかリハビリ(PT)
・強い差が出たのはごく少数の比較のみ
 - 成功率 ACD vs ACDF RR 0.87 (0.77, 0.98) 
 - 合併症率 ABG vs ACDF RR 3.40 (1.56, 7.43)
*各比較の結果は多すぎるので割愛(フォレストプロットご覧を)

で、どの術式も似たり寄ったりでしたとの結論。

【批判的吟味】
★★★★
PROSPEROにも登録されているし、PRISMAガイドラインにのっとってるし、丁寧な研究でした。何より読みやすかったのがよかったです(Cochrane reviewと考えたら逆に物足りない感はありますが)。指摘する点としては

・GRADE評価(エビデンス総体の評価)がない
 - 治療法が多様すぎ決定的なことが言えないので不要?
・21もRCTがあるというのはちょっと?
 - オランダ国内限定のRCT数も知りたかった
・この研究疑問でRoB満点が3/21ってほんと?
・Proportionではなくrateを使っていた点に違和感
・アウトカム測定時点がバラバラなのは無視?

くらいでしょうか。

【コメント】
このデザインなら頑張れば手が届きそう!どこかで全力で1本SRしてJBJS目指すのもアリですね。てかJBJS載せるならそれが一番近道かも。その前にしなきゃいけない仕事が山積みですが…というかどうせ結果出ないの最初からわかってるのによくSRやったなぁ…そしてよくJBJS載せたなぁ…