そろそろ大きなプロジェクトが本格始動しそうなので、その前にできるだけ論文書いておかないと!と最近必死です。全然結果でてませんが(涙)。やっと5本目できたので、6本目のためにまず勉強。整形(脊椎)外科医なら誰でもちょっとは気になったことがあるであろう「爪の黒い線(LM)」についてのKey paperを読んでみます。皮膚科のtop journalであるJ AM ACAD DERMATOL (2019IF8.3)に2019年掲載。


研究疑問  :LMがSubungual melanoma(SUM)か良性かを見分ける
研究デザイン:過去起点コホート
セッティング:Weill Cornell Medicine(ニューヨークの単施設)
*2011年1月~2017年11月

P 生検を受けたLM84人
E 各リスク因子あり
C 各リスク因子なし
O SUM

【まずはじめに】
・LMの鑑別診断は血腫、真菌/細菌、メラノサイト過形成、母斑、SUM
・SUMは爪床にできる珍しい悪性黒色腫
 - 悪性黒色腫の0.7%~3.5%
 - 診断が遅れがちで5年生存率30%、診断時の深達度は3.5~4.7mm
・SUMの確定診断は生検だが、臨床診断にABCDE ruleがある.
 A: Age, African Americans, Asians, native Americans 
 B: Breadth (3mm~), Brown-to-black coloration,  variegated Borders
 C: Change
 D: Digit (tumb >hallux >index >single >multiple)
 E: Extension (Hutchinson sign)
 F: Family history
・ほか色素が不均一、三角形、爪割れなどに注意
・近年はdermoscopyも有用

SUMは早期診断できるかが命運を分けるので、臨床診断とdermoscopyで良性のLMとSUMを分別できるか、ABCDEFが妥当か自験例を見直してみました!という研究。 

【方法】
・電子カルテから背景情報を抽出
・各変数に群間差があるか検定
・続いて全症例をABCDEF改で判定
 - 各項目に+/-をつけてやっぱり検定

【結果と結論】 
・P値が有意になった(SUMとの関連が示唆された)項目は
 - 若い、LMがみつかってから長い、LMが広い
・ABCDEF改もDermoscopyも全然当てにならない
・臨床的なSUM鑑別は難しくい
 - 幅が爪の40%以上のLMに生検するのはどう?

【考察のサマリー】
・若いから大丈夫というのは嘘
・LMでて10年以上+SUMだった人は、みなLMが拡大
・爪の幅は多様なので「幅3mm」より「LMの占める割合」がいい
 - 40%をカットオフにしたら有意になった
・DermoscopyがきれいなSUMが2人いた

【批判的吟味】★★★★
解析については随分脆弱でしたが、アウトカム8人だとできることには限界あり。SUMだったLMの写真と、それっぽいけど良性だったLMの写真がたくさん掲載されていたり、珍しいSUMのn=8のケースシリーズ+αとして臨床的に意義が高い研究です。個人的にはぐちゃぐちゃ謎の解析するより、こういうケースシリーズの方がずっといいと思っているのですが、そういう研究がTop journalに載るのは何か嬉しい。頑張って検索かけてもLMの先行研究全然でてこないので、文献リスト孫びきしたかったのですが、そこが思ったほど充実していなかったのは残念でした。

【コメント】
結局LMは悪いんか?については情報は得られず(=悪くない、んでしょうね)。罹患期間が長いと悪いかも?というメッセージはちょっと怖かったですが。LMの中にはヤバいやつ(SUM)があるのはわかりましたが、その有病割合などもわかりません。これはエビデンス集めるの大変そう…Systematic Reviewするわけではありませんが、漏れのないよう地道に腐らずやっていくしかありません。非英語文献まではいいですよね…