二択で迷ったらアグレッシブな方を選べ

本ブログのコンセプトは 「外科系臨床医に臨床研究について知ってもらう」です。自分で勉強したことを備忘録として気ままに書いていますので、情報の真偽については責任を負いかねます。また専門性が高い方にとっては内容が浅い点、分量が多くて読み辛い点もご了承くださいませ。

カテゴリ:ひとり抄読会 > ★★★★論文

学会関係で大変お世話になってるさる先生から、最近頚椎人工椎間板(ADR)のエビデンスが蓄積されてきたな!とご紹介いただいた論文を読んでみます。いずれも2019年のJNS-Spine掲載の研究で、1本はRCT、1本はSwespineを使った観察研究。著者も結構かぶっていて、同時進行でしていた模様。もちろん読み応えがありそうな後者を読んでみます。研究チームは脊椎外科だけではなく、外科科学?、ヘルスケア?、臨床研究センターの混成と色々興味深いです。

Artificial disc replacement versus fusion in patients with cervical degenerative disc disease with radiculopathy: 5-year outcomes from the National Swedish Spine Register

研究疑問  :神経根症に対しADRは固定より効果的か?
研究デザイン:過去起点コホート(データベース)
セッティング:Swespine
*Swedenの脊椎手術患者の75%を登録
*2006年~2017年

P ADRを受けた神経根症患者185人+マッチングした固定185人
E ADR
C 固定
O 主要:Neck disability index (NDI: 5Y)
副次:EQ-5D、VAS(頚部痛・上肢痛)

ADRと従来の固定術を比較した悉皆データを用いた研究はないので行ってみました!という研究。

【方法】
・傾向スコア(PS)0.001幅で1:1マッチング
 - 因果グラフで交絡選択
 - 年齢、性、喫煙、BMI、就業、休職、障害年金、罹患範囲、復職意思、術前NDI
・ほか包含基準は
 - PS計算後6M以内に手術
 - NDIの欠測がない
・平行して走らせたRCT参加者は除外
・NDIは0₋100%のスコア(高いほど悪)
 - MCIDは15%
・欠測は多重補完(最多で16.8%)
・解析はANCOVA
 - PS計算に使用した変数と各アウトカムの術前値を投入
・感度解析としてマッチングしない全例比較も

【結果と結論】 
・ADR204人、固定3794人が対象
・各群のNDIは(術前 → 5Y)
 - E群 40 (37, 43) → 21 (17, 24)
 - C群 42 (38, 46) → 25 (20, 30)
 - 群間差は -3.0 (-8.4, 2.4; p=0.28)
・EQ5-DもVASも差なし
・ほかE群 vs C群
 - 合併症 15% vs 5%
 - 再手術 8% vs 3%
 - 隣接障害が原因の再手術は両群1.5%

というわけで、術後5年成績でADRは固定に優ることは示されなかったとの結論。

【批判的吟味】★★★★
丁寧にデザインされた研究で読み応えがありました。Swespineは相当羨ましいです…王道のデータベース研究として悉皆性が強みである一方、アラはいくつかありますので一応挙げておきます(わかってやられているとこもあるでしょうけど)

・マッチングを行った意義がよくわからない
 - するなら重みづけでは(先日勉強したことの生兵法ですが)
・因果グラフ使ったなら、付録でいいのでみせて欲しい
 - 使ったからいい!というものではない
 - 適応交絡が十分調整できているとは思えない
 - ふつう不安定性やalignmentを熟慮して術式選択する
・ところでやっぱりマッチングしても多変量解析必要なの?
・「術後復職意思」って術前の情報?
 - 術後情報はPS計算に入れない
・MCIDは誤用(先日まとめました
 - NDIは連続値ではなく、MCID達成者割合を比較すべきでは

PSマッチングしたからRCTに準じた比較ができた!というのは言い過ぎで、比較の質としてはそこまで高くはないです。星3つか4つか悩ましいところですが、手術の3/4を網羅してるSwespine使っているので、星4つでしょうか。

【コメント】
自分は臨床研究者としてまだまだ駆け出しですが、このデザインなら手が届きます。自分だけでは無理でも、相談できる仲間(メンター)がたくさんいます。あとはデータベースさえあれば…まずは目の前のプロジェクト全部完遂して、手が届くデータベースに寄せた研究企画して修行して、いずれ日本にもSwespineに負けないレジストリを…と妄想は尽きません。

最近、長旅(5誌目)にでていた初代論文がついにSpineでrevisionにかかりました...何とかねじ込んではやく成仏させたいです。というわけで意気揚々と回答を8枚も作ったのですが、メンタリングで真っ赤っかになり、次週再見…疫学3年半勉強してまだこのレベルなのは悲しくなる今日この頃です。また一連のハナシは記事にしなきゃですね。今回はreviseの際に引用しようかな~という実需もかねて手術合併症の疫学研究を。昨年のSpineです(引用したらIFあがるし喜んでもらえ…)。

Can Elective Spine Surgery Be Performed Safely Among Nonagenarians?: Analysis of a National Inpatient Database in Japan

研究疑問  :高齢者の手術成績は?
研究デザイン:記述、過去起点コホート
セッティング:日本(DPCデータベース)
*2010.7月~2013.3月

P 予定脊椎手術患者(65歳以上)
E 1 90歳以上
E2 80歳代
C 65~79歳
O 主要:死亡(90D)、大合併症
副次:入院日数、退院先、死亡(30D)


超高齢化社会になり、80代や90代に脊椎手術を行う機会が増えてきた。ので実際どうか調べてみました!という論文。

【方法】
・救急患者は除外
・DPCから抽出した背景因子は
 - 年齢、性、BMI、喫煙、並存症、処方、手術部位、固定、麻酔時間、輸血など
・大合併症に含めたのは
 - 感染、心血管イベント、呼吸器疾患、敗血症、肺塞栓、脳卒中、腎不全
 - ほか尿路感染とせん妄も調査
・ロジスティックモデルで交絡調整
 - 病院で層化した一般化推定方程式を使用

【結果と結論】
・対象は88370人
・80歳代が19.1%、90歳以上が0.5%
・結果は(90歳以上 vs 80歳代 vs 65~79歳)
 - 90日死亡 1.7% vs 0.3% vs 0.2%
 - 大合併症 7.4% vs  5.0% vs 3.7%
・90日死亡のリスクは
 - 90歳以上 aOR 8.7 (3.6, 20.1) 
 - 80歳代 aOR 2.3 (1.6, 3.4)

というわけで、90歳以上はやっぱり合併症それなりにありますね、という結論。

【批判的吟味】★★★★
シンプルにビッグデータを解析した、わかりやすい研究!悉皆性のあるデータで疫学情報出すのは理にかなっています。日本発の論文はディスると失礼すぎるので敢えてあまり読まないのですが、勉強になりました…ってよくみたら東大SPHの康永先生の論文でした。失礼しました…

向学のためにLimitationとその言い訳もまとめますと
・合併症は過小報告される
 →でもEもCも条件は同じなので、比較の質にはそう影響しない
・入院データのみ(外来データがない)なのでやっぱり過小評価になる
 →でも平均3週間入院してるので、手術合併症は拾えるでしょ
・手術でよくなったかどうかのdataはない
・術式などの細かな情報はない、再手術や再入院もわからない

【コメント】
よし、この研究引用させていただきます!臨床疑問をちゃんと選べば、ビッグデータは強いですね~羨ましい。でも外科医としては、もっとネットリしたレジストリでマニアックな疑問を解決していきたいです。というか、90歳超えの手術は65歳以上の0.5%か…勤務先では数%いる気がするのは多すぎ!?

EAで紹介されたSpine JのRCT(星5つ)を読みます。Spine JはSpineやJNS-Spineと比べると歴史が浅いものの、読み応えある論文がたまにあり、脊椎誌で一番IFが高いことには個人的には納得。査読料とったりJBJSの子分みたいな印象です。スカンジナビアでは60歳以上にはネジ入れないという記載にびっくりしたのでIntroもまとめてみます。

Randomized double blind clinical trial of ABM/P-15 versus allograft in noninstrumented lumbar fusion surgery

研究疑問  :ABM/P-15はstand alone PLFの骨癒合に効果あるか
研究デザイン:RCT
セッティング:デンマークの1病院?

P 60歳以上のネジなしPLFする1-2椎間の腰椎変性すべり 101人
I  ABM/P-15使用 49人126個所
C 同種骨使用 49人114個所
O 腰痛/下肢痛VAS、ODI、EQ-5D(12Mと24M)
癒合完成(12M)

【はじめに】
スカンジナビアではどうせ緩むし手術時間もかかるから60歳以上にinstrumentは使いません。そして基本局所骨を使うけど、どうせ骨質も悪いから同種骨もよく使います。でも保存も感染症チェックも面倒なので、いい人工骨があればそれがbest。rhMBP-2は骨癒合にはよかったけど、異所性骨化が大問題。その点ABM/P-15はよさそう。これまでACFやPLIFでの有効性は報告されているが、ネジなしPLFの報告がないので調べました。

【方法】
・紺野教授のLSSツール7点以上を対象
・封筒を用いたサイズ20のブロック法で1:1に割付
・サンプルサイズはODI差10、SD17で設計
・除圧はlaminectomyもしくはlaminotomy
・骨移植は横突起間
・術後軟性コルセット3ヶ月
・骨癒合は椎間毎に左右で2個所を数える
 - 第三者が、CTで骨架橋ありを癒合と判定
・解析は検定のみ
・ちなみに同種骨は754$、ABM/P-15は859$

【結果と結論】
・連続195人のうち基準を満たし参加に同意した101人をランダム割付(52%)
 - その後3人は再手術になり脱落
・癒合判定は脱落なし
 - 癒合はI群 63個所 (50%) vs C群 23個所 (20%), p<0.001
・PROsはI群3人、C群4人脱落(それぞれ6%, 8%)
 - 有意差なし

というわけでABM/P-15は癒合にはいいけど、臨床成績には反映されなかったとの結論。

【批判的吟味】★★★★
ゴチャゴチャ変なこともしていないし、読みやすくいい研究だと思います。結論も飛躍し過ぎず控えめなのも良心的。ただいくつか気になる点は

 ・ODI差10、SD17の出どころは?
 ・フローチャートが欲しい
  - 脱落した3人がどっちの群かの記載がない
 ・プロトコルについての記載がない?
 ・個人をランダム割付しているのに、骨癒合の対象は個所
  - 癒合割合について単純な検定は✕
 ・あくまでODIをベースに設計した研究
  - 骨癒合に関して強く主張することはできない
 ・有害事象がアウトカムに入っていない

などでしょうか。ぶっちゃけネジなしPLFは考えたこともなかったし、そもそもABM/P-15日本じゃ使えない?ので臨床に活かせる知見ではありませんが、色々興味深い研究でした。RoB2

1. 割付けの隠蔽化 Low risk
2. 割付けの盲検化 High risk 
3. アウトカムの追跡 Low risk
4. 評価者の盲検化 Low risk
5. 選択的な報告 Some concerns

RCTの質としてはまぁまぁかなと。術者の盲検化ができないので、後療法に差がでる可能性があり「2.割付の盲検化」はHigh risk。プロトコルにアクセスできない点は甘めにみてSome concerns。外科系のRCTは介入が一発で終了するので、群間のクロスオーバーがない点はバイアスリスク少なめになるんですね。

【コメント】
同種のtip boneでネジなし、横突起間移植、軟性コルセットで20%は癒合するんだ…そして50%も癒合するABM/P-15は侮れない気が。安全性が確認できたら使ってみたいです。というか、やっぱり癒合の有無はPROsにはそう関連しない?それとも尺度が粗くて測りきれていない?脊椎外科領域でまず最初に検証しないといけない(けど誰も切り込めていない)疑問はコレな気が…

現在執筆中の論文ドラフトを教員先生方に添削していただきました。大分イイ感じだな!と密かに思っていたところ、的確なご指摘でボロボロに。いつになったら一人前になれるのか不安しかない…ですが、気を取り直して(今更)先行研究を深読みしてみます。以前紹介AIMの論文の著者である、Kado氏が後弯関連の研究の第一人者である模様。先駆けて発信されたJAGS(2018IF4.1)の2004年の論文を。

Hyperkyphotic posture predicts mortality in older community-dwelling men and women: a prospective study.

研究疑問  :後弯は死亡と関連するか?
研究デザイン:前向きコホート研究
セッティング:Rancho Bernardo(米)
*1972-1974に先行コホート研究
 - 30-79歳6629人(82%)を対象
 - 1988-1991に生存者に追試を提案
 - 80%が同意し、1997.1月まで追跡

P 地域住民 1353人
E 後弯姿勢あり 
C 後弯姿勢なし
O 死亡発生(平均4.2年追跡)
*後弯姿勢の判定はブロック法
 - 放射線台に仰臥位で測定
 - 顔面が台に平行になるように体位をとる
 - 平行になれなければ、1.7cmブロックを追加
 - 1個でも入れば後弯あり
*生存を毎年確認
 - 1997.1月時点で80.5%を追跡
*死者の96%の死亡診断書を取得
*解析にはCox比例ハザードモデルを使用
 - 交絡因子はbackward selection(p<0.1)で選定
 - 年齢、性、BMI、OA、喫煙習慣、歩行習慣、登り困難、不安感を採用
 
<結果のまとめ>
・後弯は男性に多かった(44% VS 22%; P<0.001)
・最終モデルのハザード比 1.40 (1.08, 1.81)
・性別と後弯の交互作用P=0.53
・後弯ありの死因は動脈硬化が多かった

となり、高齢男女において後弯姿勢は早期死亡のリスクであるとの結論。

<Introのまとめ>
・後弯と病的状態が関連するので、死亡と関連するかも。
・2つの先行研究は交絡の調整が不十分
・簡便なブロック法で測定した後弯が死亡と関連するか?

<考察のまとめ>
・多くの変数で調整した頑健な結果
・男女ともに後弯は死亡と関連
 - 女性のみリスクという知見に反する結果
・後弯割合は既報では女>男、本研究では男>女性
 - ブロック法は頚椎と胸椎の後弯を反映
 - 頚椎後弯が男性に多いため?
・後弯姿勢は骨粗鬆症のせいと考えられている
 - すなわち後弯と死亡の関連は骨粗鬆症の代替
 - でも骨粗鬆症で調整して結果がでたのでおかしい
・なぜ後弯は独立した死亡リスクなのか?
 - 身体的加齢の指標だから?
 - マウスの実験で示されている
・その他の原因は?
 - 既報にあるとおり、肺機能かも
 - 新たに後弯と動脈硬化死亡との関連が示された

<強みと弱み>
Limitation
・中流階級以上の白人が対象
・椎体骨折を調整していない
・残余交絡
・死因別の解析には検出力が足りない
・死因の誤分類

Strength
・骨粗鬆症に関係なく地域住民全体を対象
・男女を組み入れ
・ブロック法は簡便で臨床利用しやすい

【批判的吟味】★★★★
私がやりたいことが16年前にもうなされてました…よく作り込まれた研究。弱点を探してadd onするロジックじゃないと、発信できません。頑張ってアラを指摘するとしたら

・追跡割合80.5%はちょっと物足りない
・参加呼びかけ(1700 人?)は地域人口の20%くらい?
 - 代表性の問題
・ブロック法の誤分類
 - 免荷で測定、腰椎後弯が考慮されない
・Backward serectionで交絡因子決めるの微妙
・後弯-死亡のメカニズムが浅い

でしょうか。うーん押しに欠けるなぁ。いい研究です…

【コメント】
自分の研究結果の問題を述べて、それを改善した次の研究をやって、第一人者としてAIMに総説も書いて、、と研究者の鑑のようなKado先生。たいへん参考になりました。ただ脊椎外科医としては、仰臥位で後弯測る時点でオイオイ!と思うわけで、ここをうまく英語で表現できればいい研究になるはず、頑張ってみるしかないです。というか、今更ロジック練り直すとかしてる時点でダメダメな気が…いや、これも勉強(修行)…

現在、博士論文の執筆に必死で、ひとり抄読会が滞っておりました。先日同期のエースから「ケースシリーズでも、考察が深ければCirculationに載るんですね!」と紹介してもらった論文を、向学のために読んでみます。専門外(体外循環式心配蘇生:ECPR)の効果をみる論文ですが、ロジックの組み立て方は参考になるはず。Circulationといえば、総合医療系を除けばTopの2018IF23.1という強い雑誌です。細かなところはさておき、全体のロジックを。

Improved Survival With Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation Despite Progressive Metabolic Derangement Associated With Prolonged Resuscitation.

研究疑問  :ECPRは難治性VF/VTの神経予後を改善するか?
研究デザイン:ケースシリーズ
セッティング:ミネソタ大学

P ミネソタ大でECPRした難治性VT/VF 160人
+ALPS試験のアミオダロン治療群 654人
E ECPR
C 通常のCPR
O  神経予後良好の割合
*ALPS試験はAmiodarone vs Lidocaine vs Placebo
 - 北米多施設の研究(2016NEJM)
*ECPRはミネソタ大プロトコルで施行
*神経予後はCelebral Performance CategoryとmRS
 - ECPR群は退院時と6MのCPCスコア 1-2
 - 対照群は退院時mRS 0-3
*とくに複雑な解析はなし、主モデルはロジスティック回帰
 - 年齢、性、人種、目撃者、傍観者CPR、発生場所を投入

院外心停止のうち、VT/VFは救命可能性が高いものの、その50%は難治性(除細動3回+アミオダロン投与で心拍再開しない)である。蘇生に時間がかかるほどその神経予後は悪くなるが、ECPR(ECMO導入)は時間を稼ぎ、神経予後を改善する。しかしどの程度蘇生に時間をかけることが許容されるかはわかっていないので、ECPRによる蘇生時間と神経予後を調べてみました!という研究。結果は

・神経予後良好はE群に多い (33% vs 23%; p=0.01)
・蘇生時間はE群が長い (60min vs 35min; p<0.001)
・両群とも蘇生時間が長いほど予後は悪化
 - しかし、両群で大きく差がでた
 - C群は蘇生時間 ≥ 40分で神経予後良好はなし
 - E群は蘇生時間 50-59分の25%,≥ 60分の19%が予後良好

  となり、ECMO導入は1時間以内であれば予後良好(短いほど良い)との結論。

<せっかくなので考察のまとめ>
・ECPRは心拍再開なくとも血行を安定させるため、予後を改善する。
・蘇生時間30分以内にECMOが導入できれば100%予後良好
 - ただその後は経時的に悪化
・ECMOなしでも回復した人もいる可能性には注意
 - ECMOを導入するために搬送が長くなり、CPRの質が下がる可能性も
 - 20分は通常CPRをやってダメなら運ぶことも提案
 - その間に難治性VF/VTを鑑別
・40分CPRをした人は、重度の代謝低下をきたし予後不良
 - CPRの灌流はせいぜい25%しかない
・なぜ40分を境に急に予後が悪化したかはわからない
 - 代謝低下がCPRの効果をさらに減じた?
・標準的な気道確保では酸素化が不十分なのかも
・ECMO導入までの時間は30分を目指すべきことが明示された
 - ただ最初の標準的CPRに15-20分かかるので搬送時間は5分しかない
 - ECMO施設を戦略的に施設を配置する必要
・ECPR前の標準CPRの質を高めることも重要
 - 病着前のECPR開始が予後を改善する可能性も

<せっかくなのでlimitationまとめ>
・単群コホートであり、選択バイアスの可能性
・ランダム化試験じゃないし、因果関係を論じるのは難しい
・致死性不整脈全体に一般化はできない
・過去最大のサンプルサイズではあるが、足りないかも
・E群とC群では効果の指標が完全に一致しない

【批判的吟味】★★★★
解析もデザインもシンプルで、非常にわかりやすい研究でした。「ECMO導入までの時間は30分」という強いメッセージが出されたこともあって、Circulationなんでしょう。「ECMO施設の戦略的配置」に言及していたり、政策に使えそうな点もウケそう(雑誌や運営する団体の方向性に沿っていればとくに)。対象は「北米の院外心停止、難治性VF/VT」でE群とC群の源泉母集団が共通してそうだし、脊椎手術みたいに診断や治療の施設差が大きくないテーマなので、比較の妥当性は保たれていると。ぱっと真似できそうにないですが、勉強になりました。

【コメント】
単施設のデータだけでIF23の雑誌というのは、夢があるというか...脊椎外科でも何かないでしょうか。単施設のdataでJBJSに...いろいろ考えてみよう。といっても、まずは博士論文はやく書いて、共同研究進めないと…時間のやりくりうまくやらないと、虻蜂とらずです涙

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