相変わらずの要領の悪さ(能力の低さ?)のせいで遅々として論文執筆が進まず。最近論文を読んでいなかったので、今日は頑張って1本読んでみます。一緒に研究している先生から紹介していただいた、外傷を扱ったJBJS2018の論文。JBJSも観察研究とるんだ~しかもアメリカじゃないし、という点が興味深い。ド素人なので、臨床的意義はさておき、methodologyに注目してみます。
Association Between Distal Radial Fracture Malunion and Patient-Reported Activity Limitations: A Long-Term Follow-up
研究疑問 :橈骨遠位端骨折の変形癒合とアウトカムの関連をみる
研究デザイン:前向きコホートの二次利用
セッティング:北東Scania在住者(SWE)
P 橈骨遠位端骨折 63人
E 変形癒合
C 癒合
O 主要:DASHの変化量
副次:DASH値、VAS値(痛み、満足度)、ROM、握力
*DASH:Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand
30項目で0~100点(高いほど不良)、MCID=10
橈骨遠位端骨折の長期予後をみた研究は殆どない。2001~2002年に橈骨遠位端骨折に対しCastと経皮固定を比較した研究したけど、その長期成績を変形癒合とアウトカムに注目して報告します!という研究。
【方法】
・もとコホートの生存者から以下を除外
- 重度並存症、認知症、再骨折、etc
・変形癒合の定義は割愛…(よくわからんので)
・まず質問票でDASHとVAS測定
- その後検診でROMほか調査
・先行研究の1年成績をもとにサンプルサイズ計算
- 変形癒合のDASH平均値25(SD17)、差15点の検出
- 片群21人
- 実際は対象100人の見込み、追跡7割を想定
- 変形癒合3割なら、このサンプルサイズは十分との主張
・主解析は治療法で?層化したGEE
- 年齢、性別、利き手、骨折型
- 測定時点はベースライン、2年、最終観察を使用
- 1時点での欠測ありも包含(他の時点値を代入?)
・67歳以下に限定したサブグループ解析も施行
・副次解析は線形回帰、などなど
【結果と結論】
・潜在対象者97人のうち、生存88人が対象
- 回答は80人(82%)
- 検診まで受けたのは63人(65%)
・解析対象者63人中変形癒合は25人(40%)
・変形癒合 vs 癒合は
DASH変化量差 11 (4, 17)
DASH値差 14 (7, 22)
疼痛VAS 10 (0, 20)
満足度VAS 26 (11, 41) etc
で、変形癒合のほうが長期成績は悪そうですよ、との結論
【考察のまとめ】
Association Between Distal Radial Fracture Malunion and Patient-Reported Activity Limitations: A Long-Term Follow-up
研究疑問 :橈骨遠位端骨折の変形癒合とアウトカムの関連をみる
研究デザイン:前向きコホートの二次利用
セッティング:北東Scania在住者(SWE)
P 橈骨遠位端骨折 63人
E 変形癒合
C 癒合
O 主要:DASHの変化量
副次:DASH値、VAS値(痛み、満足度)、ROM、握力
*DASH:Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand
30項目で0~100点(高いほど不良)、MCID=10
橈骨遠位端骨折の長期予後をみた研究は殆どない。2001~2002年に橈骨遠位端骨折に対しCastと経皮固定を比較した研究したけど、その長期成績を変形癒合とアウトカムに注目して報告します!という研究。
【方法】
・もとコホートの生存者から以下を除外
- 重度並存症、認知症、再骨折、etc
・変形癒合の定義は割愛…(よくわからんので)
・まず質問票でDASHとVAS測定
- その後検診でROMほか調査
・先行研究の1年成績をもとにサンプルサイズ計算
- 変形癒合のDASH平均値25(SD17)、差15点の検出
- 片群21人
- 実際は対象100人の見込み、追跡7割を想定
- 変形癒合3割なら、このサンプルサイズは十分との主張
・主解析は治療法で?層化したGEE
- 年齢、性別、利き手、骨折型
- 測定時点はベースライン、2年、最終観察を使用
- 1時点での欠測ありも包含(他の時点値を代入?)
・67歳以下に限定したサブグループ解析も施行
・副次解析は線形回帰、などなど
【結果と結論】
・潜在対象者97人のうち、生存88人が対象
- 回答は80人(82%)
- 検診まで受けたのは63人(65%)
・解析対象者63人中変形癒合は25人(40%)
・変形癒合 vs 癒合は
DASH変化量差 11 (4, 17)
DASH値差 14 (7, 22)
疼痛VAS 10 (0, 20)
満足度VAS 26 (11, 41) etc
で、変形癒合のほうが長期成績は悪そうですよ、との結論
【考察のまとめ】
・両群にはMCIDを超える差がみられた。
・標準治療は内固定にシフトしているけど、まだギプスとか経皮固定がある。
・変形癒合は長期成績が悪そう。本研究はCastと経皮固定のみが対象だけど。
・OAと成績の話(結果とあまり関係ないし、割愛)
・強みは長期予後をみた初めての研究
・欠測が結構あった
- でも欠測者の特徴は参加者とかわらなかった。
- GEEで欠測者もふくめ使えるdataを全て使った。
・健側のX線を行わなかった。
・CTではなくX線の評価なので、精度に問題があったかも。
・標準治療は内固定にシフトしているけど、まだギプスとか経皮固定がある。
・変形癒合は長期成績が悪そう。本研究はCastと経皮固定のみが対象だけど。
・OAと成績の話(結果とあまり関係ないし、割愛)
・強みは長期予後をみた初めての研究
・欠測が結構あった
- でも欠測者の特徴は参加者とかわらなかった。
- GEEで欠測者もふくめ使えるdataを全て使った。
・健側のX線を行わなかった。
・CTではなくX線の評価なので、精度に問題があったかも。
【批判的吟味】★★★
正直な感想は、コレでJBJSに載るんだ…です。Common diseaseの術後長期観察ということで、研究の意義がとても大きいのはよくわかりますが、質はほぉ!というものでは…10年規模の追跡で6割以上が参加!という数値は素晴らしいかもしれませんが、3割以上が参加していない解析では選択バイアスが大きすぎます。健闘した!ってのは結果の解釈とは無関係ですから。あとMICDの解釈も変だし、数字や割合もちょこちょこ違ってそう(死亡者は包含しない、じゃなく包含して除外すべき)。欠測の取り扱いは曖昧だし(GEEで対処?詳細ナシ)。臨床研究部門から1人入ってるけど、ちゃんとした生物統計家なのかな…acceptされやすくするために仕込んでる?
【コメント】
Surgeryを扱う雑誌なので、やっぱりテーマは重要なんですね。最近疾患の予後研究をJNSに出したら、もっと疫学的な雑誌に出せや!と返ってきました涙。前向きに考えると、方法論的に最善を尽くしてなくとも、テーマがよくて先行研究がなければ整形領域ではTop Journalで勝負になる。必死で方法論の修行してもただの自己満足かも…と思うとちょっと虚しくなりますが、ドM精神発揮して進み続けるしかない。GEEいっぺん勉強しなおさなきゃ…
正直な感想は、コレでJBJSに載るんだ…です。Common diseaseの術後長期観察ということで、研究の意義がとても大きいのはよくわかりますが、質はほぉ!というものでは…10年規模の追跡で6割以上が参加!という数値は素晴らしいかもしれませんが、3割以上が参加していない解析では選択バイアスが大きすぎます。健闘した!ってのは結果の解釈とは無関係ですから。あとMICDの解釈も変だし、数字や割合もちょこちょこ違ってそう(死亡者は包含しない、じゃなく包含して除外すべき)。欠測の取り扱いは曖昧だし(GEEで対処?詳細ナシ)。臨床研究部門から1人入ってるけど、ちゃんとした生物統計家なのかな…acceptされやすくするために仕込んでる?
【コメント】
Surgeryを扱う雑誌なので、やっぱりテーマは重要なんですね。最近疾患の予後研究をJNSに出したら、もっと疫学的な雑誌に出せや!と返ってきました涙。前向きに考えると、方法論的に最善を尽くしてなくとも、テーマがよくて先行研究がなければ整形領域ではTop Journalで勝負になる。必死で方法論の修行してもただの自己満足かも…と思うとちょっと虚しくなりますが、ドM精神発揮して進み続けるしかない。GEEいっぺん勉強しなおさなきゃ…