ケースシリーズの経験を積みたいので、Spineのソレを読んでみます。Spine(だけではない?)では弱いコホート研究を無理やりケースシリーズに分類することがあり、いい論文かどうかは読んでみないとわかりませんが…未だconsensusに至らない抗血小板剤(APD)術前休薬のお話。
The Practice of Continuation of Anti-platelet Therapy During the Perioperative Period in Lumbar Minimally Invasive Spine Surgery (MISS): How Different Is the Morbidity in This Scenario?
研究疑問 :MISS術前にAPD休薬の是非は?
研究デザイン:前向きコホート?
セッティング:インドの1病院
P MISS 1587人
E APD休薬なし 240人
C1 APD休薬あり 216人
C2 APDなし 1131人
O 血腫含む周術期合併症、手術時間、出血量、輸血、入院期間
*ドレーンは留置せず
*解析はすべて3群の検定のみ
抗血小板剤は術前5-7日休薬するのが普通であるが、近年整形外傷や通常の脊椎手術で低用量アスピリンを継続しても問題ないとの報告もある。ただ、腰椎低侵襲手術(MISS)でが検証されていないので調べてみました!という研究。結果は
・入院期間はE群 2.5日 vs C1群 1.6日 vs C2群 1.7日とE群がやや長い(p<0.05)
・ほかは有意差つかず
・そもそも出血合併症も虚血イベントも皆無
でAPDやめようが続けようがあまり関係ないとの結論。
【批判的吟味】★★
残念ながら、コホート研究としては穴だらけで研究の体になっていないです。前向きで1600人も集めたから、努力賞でケースシリーズとして載せてあげるよ!という判断、理解できないわけではないですけど、脊椎分野では一番歴史ある雑誌でそれやりますか…そもそも書面でIC取得した的な記載もないし、レジストリ登録もないし、「前向き」も極めて嘘くさいです。
・そもそも仮説がわからない(休薬したいのか、したくないのか…)
- しかも3群比較(何を比較したいのか…)
・前向きコホートなのに割付が「ランダムじゃない」だけ
- そして解析は検定だけ(しかも超多重検定)
- 適応交絡を一切考慮していない
・「有意差」がついた入院期間は簡単に操作できる(実差も1日ない…)
・術式の説明が「使用したretractorは径14-22mm」だけ
- そして結果は術式別(方法に記載ないのに…)
・Tableに実数しか載せていない(%がない)
とアラを探せばきりがないのでこの辺で。これやっちゃだめ!のオンパレードで、反面教材に使えそうな研究(涙)…
【コメント】
入院がだいたい2日というのが衝撃でした、がそれ以上得られるものは控えめに言ってナシです。そしてこの研究の数字が〇国の「なんちゃってメタアナリシス」で使われて、エビデンスが明後日の方向に向かってしまうことを考えると、ほんと何やってるんすかSpine…こんなん俺たち手術うまいだろ?というアピールでしかないじゃん…しかも超胡散臭いし…
The Practice of Continuation of Anti-platelet Therapy During the Perioperative Period in Lumbar Minimally Invasive Spine Surgery (MISS): How Different Is the Morbidity in This Scenario?
研究疑問 :MISS術前にAPD休薬の是非は?
研究デザイン:前向きコホート?
セッティング:インドの1病院
P MISS 1587人
E APD休薬なし 240人
C1 APD休薬あり 216人
C2 APDなし 1131人
O 血腫含む周術期合併症、手術時間、出血量、輸血、入院期間
*ドレーンは留置せず
*解析はすべて3群の検定のみ
抗血小板剤は術前5-7日休薬するのが普通であるが、近年整形外傷や通常の脊椎手術で低用量アスピリンを継続しても問題ないとの報告もある。ただ、腰椎低侵襲手術(MISS)でが検証されていないので調べてみました!という研究。結果は
・入院期間はE群 2.5日 vs C1群 1.6日 vs C2群 1.7日とE群がやや長い(p<0.05)
・ほかは有意差つかず
・そもそも出血合併症も虚血イベントも皆無
でAPDやめようが続けようがあまり関係ないとの結論。
【批判的吟味】★★
残念ながら、コホート研究としては穴だらけで研究の体になっていないです。前向きで1600人も集めたから、努力賞でケースシリーズとして載せてあげるよ!という判断、理解できないわけではないですけど、脊椎分野では一番歴史ある雑誌でそれやりますか…そもそも書面でIC取得した的な記載もないし、レジストリ登録もないし、「前向き」も極めて嘘くさいです。
・そもそも仮説がわからない(休薬したいのか、したくないのか…)
- しかも3群比較(何を比較したいのか…)
・前向きコホートなのに割付が「ランダムじゃない」だけ
- そして解析は検定だけ(しかも超多重検定)
- 適応交絡を一切考慮していない
・「有意差」がついた入院期間は簡単に操作できる(実差も1日ない…)
・術式の説明が「使用したretractorは径14-22mm」だけ
- そして結果は術式別(方法に記載ないのに…)
・Tableに実数しか載せていない(%がない)
とアラを探せばきりがないのでこの辺で。これやっちゃだめ!のオンパレードで、反面教材に使えそうな研究(涙)…
【コメント】
入院がだいたい2日というのが衝撃でした、がそれ以上得られるものは控えめに言ってナシです。そしてこの研究の数字が〇国の「なんちゃってメタアナリシス」で使われて、エビデンスが明後日の方向に向かってしまうことを考えると、ほんと何やってるんすかSpine…こんなん俺たち手術うまいだろ?というアピールでしかないじゃん…しかも超胡散臭いし…