最新号のSpineがでたのでCheckして、いちばんコレと思ったものを読んでみました。国家規模のデータを使った韓国からの研究です。リスク因子の探索は結構メジャーな臨床疑問だと思いますが、どうやったのでしょうか?

Quantification of Risk Factors for Cervical Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament in Korean Populations

研究疑問  :頚椎OPLL発症のリスク因子は?
研究デザイン:ケース・コントロール研究
セッティング:韓国国家レジストリ

P 頚椎OPLL発症+頚椎OPLL未発症(年齢、性別、診断時期、地域で1:9マッチング)
E 各リスク因子あり 
C 各リスク因子なし
O 頚椎OPLLの発症
*頚椎OPLLありの定義は「病名あり+3回以上通院」
*研究期間の最初2年に頚椎OPLL診断がついたものは除外(新規発生に絞るため)
*リスク因子候補は背景情報+収入、高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、糖尿病、甲状腺機能低下症、骨粗鬆症、大腸Ca、胃Ca
*関連性の指標はロジスティックモデルで算出した調整オッズ比(OR)

OPLLの発生には人種差すなわち遺伝子素因があり、骨代謝やホルモンバランスなど様々なリスク因子が想定されているが、大規模な研究がなくまだよくわかっていない。ので、国家データ(2002‐2015年の約100万人)を使って調べてみました!という研究。結果は高血圧(OR1.28)、脳卒中(OR1.39)、甲状腺機能低下症(OR1.56)、骨粗鬆症(OR1.46)が有意に関連しており、これらを持っている人は頚椎OPLL発生に注意しましょうとの結論。

【批判的吟味】★★★★
国家データ(ビッグデータ)を使って、ケース・コントロールデザインでリスク因子を探索するというデザインは至極真っ当でしょう。マッチング1:9に意義があるかはわかりませんが(1:4以上はあまりパワーが変わらないと聞いたことが...)。あくまで変数(病名)測定の定義が「保険病名」なので、精度の問題もありますし、重症度や罹患期間は反映しないため誤分類は大きそう。けどそれはやむを得ません。また関連性も大きくないですし、多重性を考慮しているわけではないですから結果はあくまで「探索的」であり、そのまま臨床に反映することはできないことを読み手が理解する必要があります。

本研究の意義は、例えばほんとに「骨粗鬆症」とOPLLの発生に関連があるかを「検証」する研究や、更にすすんで骨粗鬆症に「介入」すればOPLLの発生を減らせるかをみる次の研究につながることでしょう。臨床をかえるインパクトは殆どないものの、研究疑問にあった研究手法をちゃんとやってるということで星4つです。

【コメント】
対象が韓国の全人口の約1/50ですし、論文中に詳述されていないのでホントに悉皆データかどうかはよくわかりませんが、全国民を対象としたレセプトデータを使えているなら、韓国羨ましい限りです。その点日本は北欧や韓国に相当遅れをとってますね...