二択で迷ったらアグレッシブな方を選べ

本ブログのコンセプトは 「外科系臨床医に臨床研究について知ってもらう」です。自分で勉強したことを備忘録として気ままに書いていますので、情報の真偽については責任を負いかねます。また専門性が高い方にとっては内容が浅い点、分量が多くて読み辛い点もご了承くださいませ。

カテゴリ:臨床研究 > お役立ち

お手伝いしているCochrane Reviewが(筆頭著者の頑張りで)佳境にさしかかっています。包含した研究からデータを抽出したら、統合(メタアナリシス:MA)して効果の推定値を示します。ただそのMAの結果がどれだけエビデンス総体に迫っているか?の評価がないと、読者がどれだけその結果を信頼していいかピンときません。

GRADEシステムはMcMaster大学のGuyatt先生が率いるGrading of Recommendations Assessment, Deveropment and Evaluation (GRADE) working groupが開発した、「エビデンス総体としての確実性」の尺度です。各アウトカムについてMAの結果得られた効果の推定値が、どれだけエビデンス総体として信頼できそうか?を示します。具体的には以下の4グレードになります(私の意訳です)。

エビデンス総体に…
 High :近いという確信がある 
 Moderate :近そう、でも大きく異なる可能性も
 Low :大きく異なるかも、信頼性に限界
 Very low :大きく異なるだろう、信頼できない

このグレードをだす過程で、以下の研究の型+8要因を評価します。研究の型によってスタート時点のグレードが決まり、そこから減点5項目と加点3項目で加減して最終グレードが決まります。

 ① 研究デザイン RCT のみ →Highスタート
非RCTあり →Lowスタート
 ② Risk of Bias 深刻-1、非常に深刻-2
 ③ 非一貫性 深刻-1、非常に深刻-2
 ④ 非直接性 深刻-1、非常に深刻-2
 ⑤ 不精確 深刻-1、非常に深刻-2
 ⑥ 出版バイアス ありそう-1、明らか-2
 ⑦ 効果量 効果大+1、効果絶大+2 
 ⑧ 用量反応性 あり+1
 ⑨ 交絡因子が 効果ありの結果を弱める+1
効果なしの結果を弱める+1

ただし、単純に加減するわけではなく、重複減点しないように総合的に判断しなければなりません。ちょっとモヤっとした尺度ですし、ある程度EBMに長じた人がつけないとわけわからなくなってしまいそう。そして何人かで個別に判定して、結果を合議で決めないといけないでしょう。

各下位項目の判断基準ですが、① RoBはCochraneのRoBツールと連動して判定する模様。②は「点推定値のばらつき」「信頼区間の重なり具合」「I²値」「異質性検定p値」で総合的に判定。⑦は相対リスク<0.5 or 2<で効果大、<0.2 or 5<で効果絶大…その他細かな判定基準がある程度決まっていますが、詳細は成書ご参照を。難しい英語の教科書読まなくても、日本語の教科書が出ています。でも日本語だけど難しい…そしてこの本高っ…

最近ようやく?iPadを手に入れました。何かいい使い方ないかな?と思った際に、大学院の同期から「出張先で2ndディスプレイにしたら便利っすよ」と教えてもらったのを思い出し、やってみました。感想は…

もっと早くやればよかった…

手順は簡単だし、めちゃ効率あがります。非常勤の勤務先の外来の合間や、当直の合間にも簡単に2画面で作業できてしまう。なんと、もともと2画面の自宅や職場では、3画面に!画面1で論文開いて、画面2でGoogle翻訳開いて、画面3で原稿開きながら論文書ける便利さ。すごい時代です。
3画面

いくつかアプリがあるようですが、個人的にはDuet Display一択。手順は簡単で、

①PCにDuet Displayをダウンロード
②iPadでDuet Displayのアプリを購入(1220円)
③PCとiPadをUSBケーブルでつなぐ
④iPadでDuet Displayアプリ立ち上げ
iPad待機画面
⑤デスクトップのduetボタンを押す
duetボタン
これだけです。Mac/Windowsどちらでも使えるし、iPadじゃなくてiPhoneにも使えます。有料ですが買い切りだし、有線でも無線でもOKなので言うことなし。今のところ操作性も全く不自由ないです。

今後Web会議や遠隔授業も増えるでしょうから、環境整備に必須だと感じました。次はヘッドセットかな。ヘビーユーズのLet's noteですが、次買い替えのタイミングでMacにするともっと便利なのかも。もう原始人では生き残れなさそうなので、少しずつ文明の利器に慣れていかないと…

お手伝いさせていただいている某英語雑誌で、観察研究のメタアナリシス(MA)を査読する機会がありました。採否はさておき、そこでRisk of Biasの評価尺度について勉強しましたのでまとめておきます。私の理解の及ぶ範囲では、

 ROBINS-1 tool
 Newcastle-Ottawa Scale (NOS)

の2つが中心かと。今回は後者(NOS)が使用されていたので、NOSについて。ROBINS-1については京都大学片岡先生たちの資料に詳しいのでご参照ください。

NOSは英国通の同期の誉れが「OxfordではROBINSよりNOSっすね」と言っていたとおり、BMJ系の雑誌に多い気がします。妥当性を評価した研究などはぱっと渉猟した範囲でみあたらなかったので、これからの尺度なんでしょうか。評価シートは上記リンクから進めば取得できます。

内容はみていただければわかりますが、「CASE CONTROL STUDIES」スケールと「COHORT STUDIES」スケールがある模様。前者を使うことあるんだろうか?(←ちゃんとしたケースコントロール研究みたことないので)などと思いながら、コホート用をみてみます。内訳は

 Selection 1) ~4) の4質問 
 Comparaility 1)  の1質問
 Outcome 1) ~3) の3質問

の計8質問で構成されていて、各質問でどの回答を選択するかによって*Starの有無が決まっていて、*の合計数を得点として扱います。SelectionとOutcomeは回答1つのみで*は最大各4個と3個、Comparabilityは複数回答可で*は最大2個、なので合計*は0~9になり、7以上だと質が高いとの判定になる模様。その妥当性はさておき、使いやすそうな尺度ではありました。論文書くのに慣れたら、これ使ってMA量産できそう…

論文の再投稿先を探す際に、メンター先生から「IF以外にも雑誌の格付け指標あるよ」ということで、Scimago Journal & Country Rank(SJR)を教えていただきました。

SCImagoは世界の複数研究機関で構成されたグループで、SJRはIFのように単に引用される回数が多いかどうか?で得点化するのではなく、「いい雑誌への引用」を重みづけして計算するようです。実際IFでのランク付けとどう違うのか、先日紹介した脊椎論文投稿先の表を改変して載せてみます。

IF2018+SJR
横ラインより上がQ1で、下がQ2です。こうやってみるとSpineの格があがって、Spine Jの格が大分下がりますね。歴史が反映されるH-indexが加味されるからか?ラインぎわのOrthopedicsとBMC~の逆転とかよくわかりません。IFのデータべ―スがWeb of Scienceで、SJRはScopusなのも差に関係するんでしょうか。

次の投稿先はそろそろSpineかな?と思っていたのですが、メンター先生方と協議の結果、投稿時にサイン要らないっぽいCORRになりそう。IFでいうと格が高いので、厳しいかも?と思っていたら、運だよ!と言って頂いたのでもう一回挑戦してみます。脊髄病学会落とされたので、いい雑誌に載せて逆襲したい…

ブログ再開前の大分旧い記事を未だに結構みていただいているようなので、ちょっとアップデートして載せておきます。2018年のIFをもとに、Orthopedics Top50のうち、脊椎系の臨床研究を載せてくれそうな雑誌を独断で選びました(JNS-Spineだけついか)。
IF2018
そして上から順に「目指したい」「勝負ライン」「ここは引っかけたい」「最終ライン」と、更に独断と偏見で線引きしています。こうやってみると「目指したい」以外のカテゴリのCHI(中国)の躍進は半端ない。また、「目指したい」にはJAPとCHIは入っていません(CORRにKORが)。分母が違いすぎますが、中国には何となく負けたくないと思うのは私だけでしょうか汗。

国内へのアピールであればJOSやSSRRも狙い目、Neurospineなども今後の発展に期待です。Pain系や骨代謝系、腫瘍系など手を広げればさらにたくさんの選択肢。こうやってみると受け皿は相当数あるので、兎に角論文たくさん書いて、実力と実績を積み重ねるのが本当にやりたい(やらなければいけない)研究の近道になる気がしてきました。

というわけで、論文書くぞ!臨床との折り合いつけながら…

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