二択で迷ったらアグレッシブな方を選べ

本ブログのコンセプトは 「外科系臨床医に臨床研究について知ってもらう」です。自分で勉強したことを備忘録として気ままに書いていますので、情報の真偽については責任を負いかねます。また専門性が高い方にとっては内容が浅い点、分量が多くて読み辛い点もご了承くださいませ。

カテゴリ:臨床研究 > 文献検索法

勉強会でお話する機会をいただきましたので準備していこうと思います。で、文献検索をしようとしたら、新PubMedでのMeSH term検索の方法がわからない!ことに気付きました…昔の記事に(私的な)網羅的検索について書きましたが、手順としては

ライフサイエンス辞書に日本入れて英語に変換
②PubMedでMeSH termとして検索
➂MeSH term or Entry term1 or... or keyword1 or...で検索グループを作る
④検索グループをMy NCBIに保存してストックする
⑤検索したい疑問をPE(I)CO化する
⑥ストックした検索グループからPとEを取り出し、andでつないで検索する

になります。すなわち②のやり方がわからない…というわけで調べました。VertebroplastyがMeSH termかどうか、その場合詳細表示はどうするか?を例にまとめておきます。まずPubMedホーム画面から、 NIHタグをクリック。
Mesh1

続いて、次のページで検索範囲をMeSHにし、確認したい単語(この場合はVertebroplasty)を枠に入力します。
Mesh2

すると、VertebroplastyとKyphoplastyがMeSH termであることが表示されました!あとは各MeSHのページにいって、Entry termをつないでいけば検索グループの完成です。
Mesh3

ちなみに今回私が造った「椎体形成術」の検索グループは
(((((vertebroplasty) OR kyphoplasty) OR vertebral augmentation) OR (vertebral body augmentation)) OR (cementoplasty)) OR (sacroplasty)

になります。Entry termはなかったので結構シンプルです。Systematic reviewする場合はこれに充填材料やMeSHの「Fracture Fixation, Internal」なども加えていって網をどんどん広げるべきなんでしょうけど、単なる文献レビューならこのあたりでいいか…というわけでPICOの「I」ができました。だいたいはP and I(E)で検索するのですが、Vertebroplastyの対象(P)は殆ど決まっているので、Oをつなげて狭い検索をしていこうと思います。

1-2週間前、突然PubMedの画面がヘンになって以前のようにサクサク使えなくなってしまいました。院生仲間に聞くと、Legacy Pubmed(旧)からNew Pubmedにリニューアルされたとの事…2019.11.18から移行が始まり、2020.5.18から完全移行した模様。そんなの聞いてないっす…リニューアルで何がかわったかというと、

・タブレットなどで見やすいデザインになった
・デフォルトの文献の並びが新着順から関連度順になった
・抄録が一部抜粋されるようになった

などでしょうか。多分もっとかわっているんですが、(私を含めた)臨床医にはあまり関係ないでしょう。なにより、Core Clinical Journalフィルターを多用していた私にとって、Clickだけでフィルターかけれなくなった?のは相当痛いです涙。慣れるしかないのでストレス感じながら触っていくしかない…

ちなみにCore Clinical Journalのフィルターかけるには、Journal=j、subset、Core Clinical Journalのコード=AIM、[text]をくっつけた

 jsubsetAIM[text]

を検索式に入れるみたいです。めんどくせ…でも慣れるしかないですね。タブレットは普段使わないのでこのデザイン逆に使いにくい涙…
PubMed画面

術後創部感染(SSI)は脊椎固定術において極めて切実な問題だと思います。予防についてはガイドラインも出ています(Mindsガイドラインライブラリ参照)が、どう治療するのが正解なのでしょうか。教科書的には「開けて洗う+抗生剤」が基本だと思いますし、誰も異論はないでしょう。ただ、その後持続洗浄するしない、陰圧閉鎖するしない、などバリエーションは多い。一方開けずに抗生剤だけでいける例もあるかもしれません(過去に4例深部SSIを経験し、ラッキーにも2例は開けずに治癒しました)。そこで臨床疑問がひとつ

 SSIの最善な治療法は?

今回はこの臨床疑問についてPubMedで網羅的に検索してみようと思います(具体例として正しいかはさておき←個人的事情もあり…)。順序としては

 ① PECOにする
 ② P軍団をつくる
 ③ E軍団をつくる
 ④ P+Eで検索


が基本でしょう。①としてまず上記CQをPECOってみます。いろいろできると思いますが、例えば
 
 P 脊椎固定術後SSI
 E 治療法X+抗生剤
 C 抗生剤のみ
 O 感染の治癒

などでしょうか。続いて②P軍団をつくる。これは「脊椎固定」「SSI」にわけて検索式をたてて、最後にandでくっつけます。「脊椎固定」「SSI」の検索式はMeSH or Entry Terms (or Key words)と作ります。続いて同様に③E軍団をつくる。今回は治療法Xは決めないので「抗菌剤」だけにしてみます。最後にP軍団とE軍団をandでつなぐと検索完了です。

SSI検索式

 赤 P 軍団(脊椎固定 and SSI)and E軍団(抗菌剤)
 黄 E 軍団(抗菌剤)
 緑 P 軍団(脊椎固定 and SSI)
 青 「SSI」
 紫 「脊椎固定」

枠の右の数字がHIT数ですが、例えば「脊椎固定」だけだと33300件もHITしますが、「SSI」とandでつなぐだけで1322件に絞れます。さらに180万件もHITする「抗菌剤」とつなぐと337件まで絞れます。この数なら全部Checkしてもそうめちゃくちゃな時間はかかりません。

Key word検索でもとりあえず用は足せるかもしれませんが、学会会場で「あなたの発表先行研究でてますよ」「僕の論文読んで勉強してないんですか?」などと足をすくわれないためにも、PECO検索はオススメです。肝心の検索結果についてはまた後日まとめて報告しましょう。

ちょっと間が空いてしまいましたが、PubMedで検索式を保存する方法を紹介します。まずは復習的に?多発性骨髄腫の検索グループを作ってみます。

多発性骨髄腫は英語変換するとMultiple Myelomaです(先ず日本語変換がわからなければLSDを使用)。これをPubMedでMeSH検索するとそのままMeSHタームであることと、Entryタームが20個あることがわかりました。
Multiple Myeloma MeSH検索

この21語をAdvanced検索でORでつないでいきます。演算子を使えばもっと省略できますがとりあえず今回はそのまま入れます。Multiple Myelomaだけで検索すると45888件のヒット数だったのですが、MeSH+Entryで検索すると47068件で1000件ちょっと増えました。
Multiple Myeloma Advance検索

この面倒くさい検索式を毎回作り直すのは時間の無駄なので保存しましょう。その際はPubMedのトップページの右上のMy NCBIを使います。まずはMy NCBIに登録しなければならないのですが、私はもうしてしまっているので紹介できませんすいません、、登録が済んでいると検索式の保存ができるようになります。どうするかというと、検索結果出力画面でCreate alertを選択します。
Create alert

すると保存画面に移動しますので、ここでName of saved searchをわかり易い名前に変更(私はPECOのどの要素を想定するか決めて頭につけることにしています)。Would you like e-mail updates of new search results?は面倒なのでNo, thanks.にかえてしまいます。そしてSaveしてしまうと保存完了です。
Saved Searches

保存されているかみてみましょう。また検索画面の右上のMy NCBIに入ります。すると自分用の画面が開き、右側のSaved Searchesに“O 多発性骨髄腫”が増えていることがわかります。また検索する場合はダブルクリックすると保存した検索式でまた検索がかけれるわけです。
My NBCI画面

検索するとAdvanced Search画面のBuilderに履歴が残ります。2つのグループをあわせて絞りたい場合はそれぞれの検索履歴をANDでつなぎます。例えば多発性骨髄腫の化学療法について知りたい場合は、“O 多発性骨髄腫”と新たに作った“化学療法”のグループをANDでつないで検索します。

2つのグループをあわせたり単語を追加して膨らませたい場合はそれぞれの検索履歴をORでつなぎます。例えば“Bence Jones Protein“のグループを“O 多発性骨髄腫”のグループとORでつなげて膨らませますと48399件のヒットになりました。Multiple Myeromaだけで検索するより約3000件増えています。もっと関係がありそうな単語を追加すると更に網羅的な検索が可能になります。

今回はMultiple MyeromaがMeSHでしたので検索結果の差はこの程度でしたが、もし初回検索がMeSHタームでもEntryタームでもない単語の単独検索であれば、かなり感度が低くなってしまい調べ漏らしの危険がかなり高くなってしまいます。

自分が興味のあるグループをMy NCBIにたくさん登録しておくと非常に便利です。既報がないかを調べたければ自分のPECOと同じグループを検索すればいいですし、PとEだけとか、PとOだけとかで引用すべき文献を網羅的に探すこともできます。というわけで検索式の保存についてでした。研究を始める段階で必ずやっておかなければならないことですが、数ヶ月前までは知りませんでした。

今朝?書いた文献検索の効率的な方法 ~共通言語だけでは不十分の記事の続きで、PECO(S)検索についてです。まずPECO(S)とはご周知のとおり

Patients    研究対象集団 “誰に”
Exposure   要因 “◯◯がある群”
Comparison 対照 “◯◯がない群“
Outcome   アウトカム
Study design 

です(介入研究の場合はE→I: Intervention)。PECO(S)検索とは何をするかというと、

①調べたい疑問をPECO(S)にする
②各要素ごとにORでつないで膨らませる
③必要な要素を目的に応じてANDでつないで網羅する

検索です。例を挙げて各作業を説明します。椎体形成術後の再骨折の予防にテリパラチドが有効かどうかを調べるにあたり、既報がないかを検索したい場合はどうでしょうか。

まず①です。PICO(S)は

P 椎体形成術を受けた患者
I  術後にテリパラチド投与
C Iなし
O 再骨折
S とくに問わない

になりますよね。続いて②です。具体的には“共通言語 OR 派生語 OR 気になる単語 OR、、”のグループ各要素ごとに作っていきます。最初のPは“椎体形成術を受けた患者”ですので、“椎体形成術”を表すPグループを作ります。

まずLSDに“椎体形成術”を入れてPubMedに飛ぶと(MeSHタームの探し方 ~LIFE SCIENCE DICTIONARYの利用参照)、“vertebroplasty”と出ます。これをMeSH検索すると(MeSHターム知っていますか?参照)、“vertebroplasty”は2008年に登録されたMeSHタームであることがわかります。Entryタームはありません。

また“kyphoplasty”が下位言語として2011年にMeSH登録されていることもわかります。こちらは“Balloon Vertebroplasty”と“Vertebroplasty, Balloon”がEntryタームです。ただこちらはvertebroplastyで検索すれば引っかかりますね。

あと気になる単語としては“bone cement injection”や“vertebral body reconstruction”などはどうでしょうか。“perforation”や“intervertebral stent”なども関係するかもしれませんね。試しに文献を引いてみて単語を探してみたり、スペルミスを見越してわざとスペルミスした単語を入れるのも感度を上げるためにはありです。

これらをORで繋ぎます。PubMedならAdvanced検索に進んで、例えば以下のように繋ぎます。

Pグループ作り

これでPグループの完成です。ここから一発検索しておくと検索履歴がAdvanced検索に残ります。ちなみにvertebroplastyで検索したら3552件のヒットでしたが、このPグループで検索したら64205件に膨らみました(perforationじゃなくてvertebral body perforationの方が特異的だったかも)。ORは増やすほど感度が上がりヒット数が増えます。

このように各要素についてグループを作っていきます。Iグループは“テリパラチド”からLSD検索、MeSH検索して作っていく。Cグループは“プラセボ”でしょうか。Oグループは“再骨折”とか“隣接椎体骨折”でしょうね。

そしてようやく③になり、各要素をANDで繋ぎます。P AND I AND C AND Oでやってみたり、Cを抜いてP AND I AND Oでやってみたり。ANDは増やすほど特異度が上がって絞り込まれますので、絞り過ぎたら要素を減らします。妥当性が高いRCTだけみたければSで“ランダム化比較試験”のグループを作ってANDでつなぎます(PubMedの場合は少々感度は下がりますがフイルターを使う方が楽かも)。とくにレビューをする場合は感度を上げるためにP AND I AND Sで検索することが原則です。

もう大分へばったのでこの辺にしておきますが、あともうひとつ大切なことは“検索式の保存”です。折角つくった各要素は保存できて、またすぐ使えるようにできるのです。こちらはまた次の機会に、、

宿題やんなきゃ汗



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