二択で迷ったらアグレッシブな方を選べ

本ブログのコンセプトは 「外科系臨床医に臨床研究について知ってもらう」です。自分で勉強したことを備忘録として気ままに書いていますので、情報の真偽については責任を負いかねます。また専門性が高い方にとっては内容が浅い点、分量が多くて読み辛い点もご了承くださいませ。

カテゴリ:臨床研究 > 文献検索法

今回は文献検索の効率的なやり方を紹介していきます。まずはなぜ効率的なやり方が必要か

学会発表のときや臨床で行き詰ったとき、抄読会の前などには文献検索をすると思います。日本語なら医中誌、英語ならPubMedに思いつくキーワードを入れて検索してみるでしょう。ただ同じ事象を表す単語いくつもありますし、雑音が入りすぎて効率が悪すぎます。また別の日にもう一度検索してみよう!と思ったときに全く再現できません。とくに近年爆発的に論文が増えていますので、効率いい検索の重要性は益々高まっています。

より問題になるのは調べ漏らしです。文献検索の際に調べ漏らしがあると非常に困ります。ちょっと調べたいだけなら影響は小さいですが、何か研究する前にすでに既報がないかを調べる場合や、過去の研究をまとめるレビューを行う際などには致命的です。

そこで共通言語を意識した検索を行います。以前にMeSHターム知っていますか?の記事で紹介しましたが、検索の際に共通言語を使用すると調べ漏らしが減ります。例えばPubMedならMeSHターム、医中誌ならシソーラスになります。

ただ共通言語による検索だけでは網羅的な検索には不十分です。なぜなら

①適当な共通言語がつけられていない文献
②まだ共通言語がつけられていない文献
③その共通言語が共通言語として登録される前の文献
④共通言語もしくは派生語が使われていない文献

を取り漏らす可能性があるからです。①は文献に共通言語を付与するのは専門家ではないことが多いため起こり得ます。適当に文献を検索して、Abstractの下の方にある“Publication type, MeSH terms”をみてもらったら実感できると思います。

②は要するに最新の文献でまだ共通言語は付与されていないものです。付与は大変な作業ですし、電子化や新興誌の増加で近年爆発的に論文が増えています。全然根拠のないただの印象ですが、1-2ヶ月のタイムラグはあるんじゃないでしょうか。最も最新の知見が拾えないのは痛いですよね。

③も以外と多そうです。タームによっては何年に登録された、などの情報が載っていますが、意外と2000年代も多い印象です。

④もとくに脊椎外科の分野では以外に多いことを実感します。例えば椎間板ヘルニアのMeSHタームはintervertebral disc displacementなのですが、より頻用されそうなdisc herniationはEntry Terms(PubMedではこれを入れるとMeSHに変換して検索される)にすら入っていません。lumbar disc herniationの文献はMeSH検索では引っかからないわけです。

まとめますと

思いつきキーワード検索 < 共通言語検索
<< PECO(S)検索


になります。PECO(S)検索のこと書いてないやん!ですよね。長くなってしまったので次の記事に続きます。

昨日MeSHタームについてご紹介(MeSHターム知っていますか?)しましたが、ではそのMeSHタームはどう探せばいいでしょうか。何となく思いつく単語をPubMedでMeSH検索してみて、その単語がMeSHタームやEntlyタームであれば何の問題もありませんが、うまく引っかからなかった場合です。

現時点での私の回答は、LIFE SCIENCE DICTIONARYを利用することです。京都大学薬学研究科の金子教授が中心となって1993年から制作・改訂されている電子辞書で(https://lsd-project.jp/ja/project/about.html参照:2017/9/29最終閲覧)、MeSHタームが日本語とリンクされているのです。無料で誰でも使えます。

具体的にどう使うかというと、調べたい単語(日本語)を検索欄に入力すると、該当するMeSHタームがあればそのままMeSHで返してくれます。直接PubMedに飛ぶリンクも表示され、非常に便利です。該当するMeSHタームがなければちょっと日本語を変えてみて幾つか検索してみれば大体事足りるのではないでしょうか。

医中誌が使用できる環境であれば、医中誌の統制語である”シソーラス”もMeSHタームと紐付けされていますので、医中誌でまず調べたい単語をシソーラス検索してみれば良いです。

次回は具体的な検索法に触れてみようと思います。

学会で発表したり論文を書いたりする時、臨床で何か疑問にぶつかった時などに文献を検索します(正直後者は殆どなかったですが汗)。その時はキーワードを考えてPubMedでTitle/Abstractを検索するのが一般的かと思います。同じ物を表す言葉が複数あることも多く、調べ漏らしがないかヒヤヒヤする経験は誰しもが持っていると思います。

ところでいざ検索してみると、検索に使った言葉が含まれていなさそうな論文も結構Hitしていることありませんか?それは気のせいではなくて、MeSHタームのおかげなのです。

MeSHタームとは、これについてはこう呼びましょう!とPubMedを運営しているアメリカ国立医学図書館(NLM)が決めている共通語です。そして、PubMedに収載される論文が出版された時には、職員がその論文をcheckして、その論文を表す適切なMeSHを10個くらい付与して管理するのです。最近まで知りませんでしたけど、すごい労力を払って載せてくれてるんですね、、

MeSHタームのほかにEntryタームというのもあります。Entryタームは"この単語はMeSHに直したらこれだよ”と定められた単語で、検索でEntryタームを入れると自動的にMeSHタームまで検索されます(この辺から誤解があったらすいません汗)。

例えば腰椎椎間板ヘルニアのMeSHって何かな?と思ったときにどうするか。Herniated diskって単語が思いついたとしたら、それをPubMedでMeSH検索します。手順は簡単で、検索欄に単語を入力して、その左をMeSHに変更して検索するだけです。
MeSH

するとIntervertebral Disc DisplacementというMeSHで返してくれます。なぜならHerniated diskはEntryタームだからです。
MeSH2


ちなみにコレに関してはEntryタームは30個以上ありました。diskもdiscもあるんですね。英語圏によっても違うのかな。しかも驚いたのは一番馴染みがありそうな(私だけ?)Disc HerniationがEntryタームにすら入っていないことです。試しにDisc Herniationで検索するとHitは5000件ほど。一方MeSHであるIntervertebral Disc Displacementで検索すると1万7000件ほど。重大な調べ漏れが生じてしまいますね。怖っ!

というわけで、何か調べものをしたい場合は先ず必要なMeSHを調べてMeSHを軸に検索しなければなりません。ただMeSHタームは全て正確に割り振られているかというと、星の数ほどある論文を人の手で割り振っているので決してそうではないようです。MeSHの検索だけでは不十分なので、漏らさず調べるためには更に方法があります。こちらは近日中に、、

日本語からMeSHタームやEntlyタームにどうしてもつながらない!場合にも簡単な方法があります。こちらも必ず近日中に、、

ちなみに日本語データベースである医中誌では”シソーラス”が共通語になります。なかなか普通に臨床医してて知る機会ないですよね。

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