二択で迷ったらアグレッシブな方を選べ

本ブログのコンセプトは 「外科系臨床医に臨床研究について知ってもらう」です。自分で勉強したことを備忘録として気ままに書いていますので、情報の真偽については責任を負いかねます。また専門性が高い方にとっては内容が浅い点、分量が多くて読み辛い点もご了承くださいませ。

カテゴリ:論文投稿のすすめ > 投稿時の注意点

先日臨床復帰後5本目acceptの報告をしましたが、現在出版にむけ準備しております。PLoS Oneは査読に時間がかかったのですが、Accept後は「著者校正はなし」「指摘にだけ答えて」「期限は5日」と慌ただしく。「指摘」も著者名や所属に間違いないか、Acceptまでのやりとりも公開してよいか、COIに間違いないか、などとくに深いものはなく。楽勝じゃん、とサラッと返そうと思ったのですが、念のため原稿見直すことに。すると内容が未熟だな…と恥ずかしくなるのはさておき、

 Abstractで<と>が逆になっている…

とんでもない間違いを発見しました涙。「著者校正はなし」ですが、一応変更履歴を残す形で原稿が帰ってきたので、修正してくださいすいません!と慌てて返しました。翌日「おめでとう、出版準備に進みます」とメールが来たので、多分対応してくれてると思いますが…

私が雑な性格だからかもしれませんが、ホント間違いが多いです。現在準備中の博士論文も、出版までにいくつか間違いが見つかり、出版社に泣き入れることは1回では済みませんでした涙。見直したらまた間違いがあるんじゃないか?と疑心暗鬼になり、見直すのが相当怖いです(昔の論文とか怖くて見直せない…)。

ただ、京大の博士審査でも、明らかに私よりマトモな先輩や同僚でも出版後の間違いが判明して修正や再投稿になっていますから、他人事ではないと思います。疫学をちゃんと勉強した人間でも間違うので、臨床家が臨床の合間を縫って頑張って出した論文が間違っていないわけがない!とすら思う今日この頃。私は論文を読んだサマリーをこの〇スブログで記事にしておりますが、論文読んでいて間違いに気づくことも日常茶飯事です。かの有名なVERTOSⅣですら出版後に「間違ってるよ」とletter入って修正になりました。間違い多すぎて読むの切なくなる論文も珍しくない…S〇ineとかもよく間違ってます。

自戒の念もこめて私がみてきた間違いを箇条書きにしますと

① 解析結果を転記する際の数字間違い(とくにAbstract)
 - 単純に数字を間違える
 - 該当箇所じゃない、違う箇所から数字を引っ張ってきてしまう
 - 四捨五入のミス

② 本文と解析の乖離
 - 解析では中央値を算出しているのに、本文には平均値を算出と記載

③ 単純な記号間違い
 - ≤と≥の間違いなど

④ 査読対応時の間違い
 - 査読対応時に本文を修正した際に、図や表の修正し忘れ
 - 査読対応時に本文を修正した際に、Abstractの修正し忘れ

ざっと思いつくだけでもこんな感じでしょうか。筆頭著者1人では絶対間違うので、本当は共著者全員でしっかりcheckするのが理想です。でもだいたい医者は皆なんだかんだ忙しいので非現実的…数字の読み合わせくらいは第三者に手伝ってもらって絶対しないとだめですが、それ以上は著者が頑張るしかないのが現状でしょう。「絶対間違ってる」「怖っ」と思いながら、時間おいて何回も見直さないといけないです。とくにAcceptされた後は「早く次に向かいたい」「早く出版してほしい」と浮かれて脇が甘くなりがちですので、注意しないといけませんね。と自分に言い聞かせつつ、7号見直してます…って言ったあと、更に5号に間違いが見つかるという(涙)、結果の解釈に影響はしませんが、correctionお願いしてみます…

最近ただでさえキャパが低いところにお仕事引き受けすぎて、気を失いかけている間にもう4月が近づいて参りました。やればやるほど果てしない疫学の世界、臨床から離れて本来のコアバリューである「脊椎外科領域に研究デザイン学の普及」を見失わないようにしつつ、臨床も研究も前に進むしかありません。

という自己暗示はさておき、最近本当にあった怖い話を。

ハゲタカジャーナルはもう有名だと思うんですけど、知人が関わる研究で実害を受けたことを教えてもらいました。どうなったかというと

・著者が独断でハゲタカジャーナルに投稿
・著者から投稿報告を受け、共著者が確認しハゲタカジャーナルと看破
・即日投稿撤回の連絡したが音沙汰なし
・約10日で返事があり、もう査読開始したので〇〇万円払え!!

ほんまにあるんや...こわすぎる…

なんでハゲタカにやられちゃったのかといいますと
・雑誌の名前が格好いい
・IF高め

だからとの事。でもこのIFが曲者で、偽物だったようです。本来IFはWeb of Scienceでの被引用数を基に計算されるもの。でもGoogle Scholarなど、他のレジストリでの被引用数で計算するなんちゃってIFが載せられているそうです。私も最近Google Scholarに何となく登録してみましたが、古ーい日本語論文とかも全部でてきて、え?という私の実績からすると多すぎる引用数。コレならウ〇コみたいな論文とか記事載せまくって、自己引用しまくればなんちゃってIF3とかすぐ作れちゃいます…

完全に詐欺なのですが、偽IFとはいえ嘘ではない。自分で選択して自由意志で投稿しているわけなので、撤回は簡単ではなさそうです。なんせ論文を人質にとられてしまっているので、出版されでもしたら他に投稿できなくなっちゃうかも…後付けで見直すと、投稿した時点で査読料最低〇万円必要などちゃんと規定に書いてある模様。「最低」というのがミソで、事実〇倍に吊り上がったと…

対策としては
・由緒ある雑誌以外、HPにあるIFは信用しない
・というか、由緒ある雑誌以外投稿しない
・せめて名の知れた出版社にしか出さない
・投稿時は共著者にちゃんと確認をとる(オプトアウトでも)

しかありませんね。著者のはやく再投稿して楽になりたい、という心理に付けこみ、更に論文を人質にとって脅すという巧妙な手口。投稿料、審査料、掲載料、吹っ掛け放題だし、ホントよくできてます。気を付けよっと…

先刻(臨床復帰してからの)論文6号をようやくBJJに投稿できました。これまでのところ1勝11敗と悲惨な成績…で現在これで5戦進行中。何とか勝率3割に載せたいのですが全然通りません涙。論文投稿数が爆発的に増えている現状ではこんなもの?それとも投稿先がズレている?ネタがズレている?論文の構成に問題が…いずれにしろもうアラフォーで立ち止まる時間はないので、兎に角前に進んで経験を積むしかありません。

というわけで、自分の論文だけでこの2年でもう17回投稿する羽目に…それなりにノウハウも身についてきましたが、その過程でそれアカンでしょ!というものを含めたくさん失敗しています。生来ドジなので自分でもある程度諦めているのですが、少しでも減らせるようにこれまでの失敗体験をまとめておこうと思います。恥ずかしいですけど、思いつくもの全部…

【Cover letter付け忘れ】
雑誌によって「そもそも不要」「投稿時に直接入力」「Fileをup-loag」のパターンがあるようなのですが、直接入力する雑誌でCover letterはここ!みたいな案内がなくスルーしてしまいました。その場合は「コメント欄」みたいなところに入力するみたいです。

【Fileの順序間違い】
修正点に気付いて原稿をup-loadし直した際にやっちゃいました。必須Fileの順序は決められた順に自動で並ぶでしょ!という早とちりです。今は最終確認PDFで順序に違和感ないか必ずcheckしています…

【Corresponding author変更で操作不能に】
ご指導いただきつつ書いている論文の場合、メンター先生にコレスポをお願いしています。具体的には、投稿準備してcheckしていただいた後バトンタッチです。が、最終確認前の著者情報入力段階でコレスポ~を自分からメンター先生に移動してしまい、操作不能になることが複数回ありました涙。

【著者情報の間違い】
多施設研究で、面識がない先生とメールベースで相談や原稿のcheckをお願いすることがあります。その際に、名前の読み方がわからない!ことが結構あり…(ほんと日本語って難しい)。読み方教えてください!とか聞けないので、必死でWeb情報や文献情報から探して裏をとるのですが、それでも間違えたことがありました。幸い投稿前に自分で気づいて事なきを得ましたが。あと所属の英語表記とかも同一施設でもバリエーションがあり、Web調査では限界があります。ので、ご本人にメールで確認するのですが返答ないことも多く…リマインドしても返答ない場合は正しい!と考えて先に進むしかないのですが、一抹の不安が残ります。

【共著者の問題】
雑誌によっては結構著者制限があるので、共著者の資格がある方を全員共著にすることはできません。ので、貢献度順に共著者/協力者を決める必要があり。で、最初から共同研究者の先生の中から選別せざるを得ない状況に陥ってしまい…という状況下で、途中参加の先生を協力者と勝手に判断してしまい、投稿後にいや共著でしょという。これは簡単な問題じゃないので、研究開始時点で投稿先を想定しないとダメ、投稿前に関係者全員に確認しないとダメだと強く反省しております。

【引用文献記載法の間違い】
これは雑誌毎に細かく違っていてホント迷惑なのですが、何回か編集部からダメ!と差し戻されました。英語校正を出す際に、すべて「フォーマット調整」までお願いするプランにしているのですが、雑な校正者がいて結構間違っているのです。業者に文句言ったり、やり直してもらうのにも日にちがかかるので、自分で直した方が早い!と自分で直しました。投稿先は限られていますし、大分慣れたのでもう依頼は単純な文法のcheckだけにしようかなと思う今日この頃…

今後は投稿の度にこの記事を見直して、襟を正そうと思います。そしてまた間違ったら書き足していきます。さ、次の論文7-8は大きな仕事なので頑張らなくっちゃ!

このページのトップヘ